出入国在留管理庁は、外国人技能実習生への人権侵害を防ぐため、2024年11月1日に技能実習制度の運用要領を見直しました。今回の改定では、実習先から別の職場に移る「転籍」の要件が明確化され、パワハラやセクハラ、悪質な契約違反があった場合などが新たに規定として明記されました。これまで「やむを得ない事情」があれば転籍が認められるとしていましたが、その内容が曖昧であったため、具体的なケースを示すことで制度の運用を改善しています。
外国人技能実習機構HP <「技能実習制度運用要領」の一部改正について>
背景と課題
技能実習制度は、発展途上国への技術移転を目的としていますが、原則として同じ職場で3年間働くことが求められます。しかし、劣悪な労働環境や賃金不払いといった問題により、多くの実習生が勤務先から失踪している現状があります。2023年には失踪者数が過去最多の9753人に達しており、転籍に関する運用改善が急務とされていました。
今後の展望
今回の見直しにより、技能実習生が適切な労働環境で働けるようになることが期待されています。一方で、制度運用のさらなる透明性確保とともに、失踪の根本原因となる労働環境の改善に向けた取り組みも必要です。技能実習生の人権を守るため、今後の取り組みにも注目が集まっています。